以前ご紹介したパナソニックのACアダプタ内蔵式のモバイルバッテリー。
AC断すると自動的にモバイルバッテリー給電に切り替わり、USBへの給電が継続されることを発見しました。
コレってRaspberryPiのUPSとして使えるんじゃね!?と思い付き、ちょっと調べてみることに。
”物ぐさ”さん向けに充電し忘れが発生しないモバイルバッテリーとしてご紹介したパナソニックの「QE-AL201」の記事はコチラ↓
ちなみに、公式名称は「モバイルバッテリー搭載AC急速充電器」というみたいです。
モバイルバッテリーがメインじゃなくて、AC急速充電器がメインなのか・・・ややこしいなぁ。(笑)
モバイルバッテリー搭載AC急速充電器の特徴
まずは、おさらいから。
パナソニックの「モバイルバッテリー搭載AC急速充電器」シリーズは、2016年11月29日時点で5モデルもラインナップされていますのですが、何故かあまり売る気が無い様で、途方もない展示物量を誇る”あの秋葉原のヨドバシカメラ”でも取り寄せ商品になってたりするという謎の商品です。
もしかしてサンヨーさんの関係で窓際にされてるのかしら??とか邪推したり(笑)
特徴その1 AC急速充電器とモバイルバッテリーが合体
AC急速充電器とモバイルバッテリーが合体した商品です。
一般的なモバイルバッテリーだと、スマホの充電とは別にモバイルバッテリーにも充電が必要で、”スマホは充電してたけど、モバイルバッテリーの充電忘れてた!”なんてことが良くありますが、この「モバイルバッテリー搭載AC急速充電器」を使えば、”スマホの充電”と”モバイルバッテリーの充電”がセットになるので、充電忘れが起こり得ません。
って、言葉で書くと非常に分かり辛いので、公式サイトのイメージ図を拝借。
(公式サイトより)
特徴その2 充電可能回数が化け物レベル
挿しっ放しだとバッテリーの劣化も気になりますが、電池の雄パナソニックの商品だけに、電池の寿命たる充電可能回数は約2,700回という化け物スペックなんですね。(約1,600回のモデルもあります)
一般的なモバイルバッテリーでこの充電可能回数を公式に謳ってるところは殆ど在りません(言えても500回レベル)ので、パナソニックの自信を感じるポイントですね。
特徴その3 手厚い安全への配慮
最近は某社の最新スマートフォンが爆発物扱いされて航空機への持ち込みが禁止されるなど、リチウムイオン電池は扱いが難しいとても危険な商品であることが周知されつつありますが、こちらも流石のパナソニックだけに安全回路が多重に入っており、とても安心感があります。
(公式サイトより)
モバイルバッテリー搭載AC急速充電器のモデル一覧表
本当に売る気が無いのかは不明ですが(笑)、何故かパナソニックさんの公式サイトでは各モデルの違いが分かり難い表記になってるので、私なりに表にまとめてみました。
基本的に公式サイトの情報を元にしています。(”発売時期”は価格.comより)
尚、”切替時瞬断”の項目は非公式であり、私の実機確認結果と他サイトの情報を元にしたモノです。 ご注意ください。
QE-AL301 | QE-AL201 | QE-AL101 | QE-AL202 | QE-AL102 | |
---|---|---|---|---|---|
発売時期 | 2015年12月 | 2014年10月 | 2014年4月 | 2015年3月 | 2014年10月 |
充電可能回数 | 約2,700回 | 約2,700回 | 約2,700回 | 約1,600回 | 約1,600回 |
容量 *1 | 7,500mAh | 5,000mAh | 2,500mAh | 3,760mAh | 1,880mAh |
USBポート数 | 2個 | 2個 | 1個 | 1個 | 1個 |
給電能力 @AC |
1.8A *2 | 1.8A *2 | 1.5A | 1.8A | 1A |
給電能力 @Battery |
1.8A *2 | 1.8A *2 | 1A | 2A | 1A |
充電時間 | 約6時間 | 約4時間 | 約4時間 | 約3時間 | 不明 |
外形寸法(mm) | 約114×78×24 | 約93×78×24 | 約75×64×24 | 約125×66×20 | 約98×57×19 |
重量 | 約250g | 約195g | 約125g | 約175g | 約112g |
切替時瞬断 | ? 不明 | 〇 しない | × する | ? 不明 | × する (らしい) |
注*1:内蔵の3.7Vバッテリーセル容量値
注*2:2ポート合計値
こうやって表で整理してみると、”充電可能回数が多め”な「ALxx1」系と、”充電可能回数が少な目で給電能力優先”な「ALxx2」系とで系統が別れている様に見えます。
数字3桁の最初が容量の大きさ順になっているのかな?
(パナソニック公式では系統別け表現はされてないので、あくまで私の想像です)
両方の末弟モデルの「QE-AL101」と「QE-AL102」は非常に軽量です。
全体的に、給電能力は2A当たり前になりつつある最近のモバイルバッテリー事情からは、やや貧弱に見えます。 でも、まぁ1.8Aあれば十分だとは思いますが・・・。
モバイルバッテリーなのにUPSみたい
たまたま、Lumix GX7Mk2の初回予約特典に付いてきた「QE-AL201」でしたが、ある日コンセントから外してもUSB給電が継続されることに気付きました。
そう、UPS(無停電電源)みたいに。
思わず、RaspberryPiやLEDライトなどのUSBを電源とする機器を繋いで確認したところ、やはりAC断で電源が途切れることなく(瞬断せずに)USB給電が継続される様です。
おお!! コレはIoT機器の電源にベストなんじゃないか!?
全てのモデルがUPS的に使えるとは限らなかった
そこで、「QE-AL201」の他のレビュー記事を探してみたのですが、不思議とUPS的に使えることを書いている人は居なさそうです。
逆に、別モデルのQE-AL102のレビュー記事で一瞬電源が途切れる(LEDが一瞬暗くなる)表現を書かれているのは見つかりました。
・・・
となると、全てのモデルが瞬断せずにUPS的に使える訳では無いということか・・・むぅ・・・
公式で謳われてる機能ではないので、どのモデルが対象なのか謎ですが、私としては「QE-AL201」より軽くて小さいモデルを持ち運び用に欲しかったので、もう一つ「QE-AL101」を追加購入して実験してみました。
USBを電源とするLEDライトを使った実験動画
で、実験した映像。
見事玉砕です。(ノД`)・゜・。
QE-AL201は瞬断発生しませんが、QE-AL101はAC断で内部電源に切り替わるまでにタイムラグがあるみたいで、一瞬LEDライトが暗くなります。
オシロスコープでの波形確認
USB電子負荷とUSB電圧電流計を使ってUSB電源がどの程度落ちてるのか確認してみました。
使ったのはコチラ↓の器具達。
オシロスコープ RIGOL DS1054Z
USB電圧電流計
USB電子負荷
尚、USB電子負荷はファンだけでなくヒートシンクが付いてる物を選びました。
残念ながら、USB電子負荷には電圧をプロービングするピンは出てなかったので、線出し改造を行ってます。
USB電圧電流計の読み値で”おおよそ1A”になる様にUSB電子負荷のボリュームを調整します。
その状態で「QE-AL101」に繋いで確認したAC断時の波形はこんな感じ。
USB 5Vが0.6Vまで落ち込んでます。 時間にして300ms程度ですね。
数回試しましたが、USB電圧が落ち込む時間は300ms~400msと多少変動する様です。
尚、同じ構成で「QE-AL201」でも試してみましたが、見えたのはスイッチングパルスのみで大きな電圧降下は発生しませんでした。
UPSとして使いたいならオススメは「QE-AL201」
先の表では、先程までの結果を踏まえて”切替時瞬断”の項目としてまとめてます。
今回の実機確認の他に「QE-AL102」は他の方のレビューで瞬断するのを見付けていますので、瞬断有無が未確認なのは「QE-AL301」と「QE-AL202」です。
・・・なんですが、私が追加で欲しいのは”持ち運びし易い様に「QE-AL201」より小さい”モデルなので、両モデルとも対象外。
やや心残りありますが、”UPSとして使えるか?”の確認の為だけに使わないモノを買う訳にもいかず・・・。(どこからかレビュー用に提供して貰えれば喜んで確認しますがw)
ということで、今の所は「QE-AL201」をオススメしておきます。
こんな方へオススメかも?
ハッカソンなどのMakerイベントや展示会などで意外と悩ましいのが電源の確保。
ArduinoやRaspberryPiなどのUSB電源を要求するデバイスのUPSとして如何でしょう?
テーブルタップ伸ばしてたけど足を引っかけられてコンセントが抜けてしまった・・・なんてことはよくあることですが、UPS的に「QE-AL201」を使っておけばちょっとだけ安心出来るかも?(UPSみたいに電源断でブザーなりませんので、ご注意をw)
QE-AL301
QE-AL201
QE-AL101
QE-AL202
QE-AL102
オシロスコープ RIGOL DS1054Z
USB電圧電流計
USB電子負荷
USB LEDライト
コメント