レーザーカッターFABOOL Laser Mini 3.5Wモデルの組み立て後の調整の続きです。
自分で作ったテストデータで、ようやく満足行く結果が得られる様になりましたので、調整の過程で得られた幾つかの気付きについて、ご紹介しようと思います。
現時点で同じように苦労されてる方へお役に立てば幸いです。
【2016/12/07追記】FABOOL関連の記事が増えてきたので、目的別に整理した記事まとめページを作りました。最初にコチラ↓を参照下さい。
開梱編はコチラ↓
組み立て編はコチラ↓
調整編(前回)はコチラ↓
お詫び
前回の「調整編」にて、意気揚々と調整用SVGデータとか公開してたのに、丸々一週間以上も結果報告無しという、非常に申し訳ないことをしてしましました。
性質の悪い夏風邪をこじらせてしまい、夏休み1週丸々寝込むという情けない状況でして、(見てくれてる人が居るのか分かりませんが)待ってた人、ホント、ごめんなさい。m(__)m
調整結果
何はともあれ、調整結果をご覧あれ。
「FABOOL_組み付け精度確認用_目盛り格子_270-180_2.svg」、1000mm/min、出力60%、コピー用紙
「FABOOL_組み付け精度確認用_丸_270-180.svg」、1000mm/min、出力60%、コピー用紙
※両データとも、このブログで公開している調整用データです。
尚、かすれっぽく見えるのは、100%出力で完全カットすると小さい切り屑が大量に出るので、出力抑え目にしている影響です。
という事で、この結果を得るにあたって、行ったことを書いていこうと思います。
フレーム組み直し
イキナリかよ!! 調整の領域超えてるだろっ!!ってツッコミ入りそうですが・・・(苦笑)
何故にフレーム組み直したのか
実は、一週間ぶりに通電してみたら、原点確認は動くものの、境界確認でY軸の立ち上がりで動かなくなるという、全く動かね~状況でした。(・・・ぐぬぬ)
前回記事の段階では、段ズレするけどカット動作までは行けてましたので、一週間の間で何か状況悪化することが起こっている様です。
まぁ、段ズレだけなら、ちょっと調整すりゃ済むだろ?くらいの甘い考えでしたが、どうやら事態はもっと悪くなってしまった模様。
フレームの組み方がイマイチなのは猛烈に自覚してましたので、反省と共に作業場を整理して場所を作るとともに、秘密兵器として、フレーム組み用の直角治具を3Dプリントして、より組み立て精度を上げてみようと考えました。
フレーム組みの前作業(補助の直角治具を作る)
使用CAD:DesignSpark Mechanical 2.0 使用3Dプリンタ:BS01+改 使用フィラメント:明成フィラメント ABSナチュラル 積層ピッチ:0.15mm
この治具を使って仮組した状態でネジ止めしていけば、直角と平面度は得られる筈です。
あ、平面度は基準となる床次第ですので、なるだけ平面そうな場所を使うことにします。
※この直角治具(の改良版)のSTLデーターを公開しています。詳しくは最後の項にて。
フレーム組みの前作業(ヤスリがけ)
当然全バラです。
思い切って全バラ。
辛い全バラ・・・。
ちゃんとした六角レンチだとバラすのも楽だわ~
んで、全バラしたついでにV-Slotフレーム端面のバリ取りを行いました。
この部分の角になるところを一通りヤスリで攫います。(実際にはあまりバリ無かったので、神経質過ぎたかも?)
気が済むところまでで良いと思います。
注意点としては、ヤスリでフレームの他の部分を絶対に傷付けないことです。(特にローラーが当たる部分に傷が付かない様にしましょう)
フレーム組みの前作業(ローラーが当たる面を統一させる)
X軸の組み立てを行っている際に気付きましたが、どうやらV-Slotフレームは、4面で同じ寸法ということではなさそうなんです。
イメージで表すとこんなことになってます。(雑な絵でスミマセン。。)
押し出しで成形する型に差があるんでしょうね。まぁしょうがないことです。
なので、四角くフレームを組む前に、ローラーが当たるY軸の右側左側について、ローラーの滑りが良くて、同じ寸法(上の絵で言う赤か緑か)の組み合わせを探すことにしました。
挿して、ローラーの滑り具合を見て、90度回転させて面を入れ替えて挿してもう一度ローラーの滑り具合を見て・・・の繰り返しです。
再びのフレーム組み作業
良い組み合わせを決めたところで、直角治具を使って仮置きしてみます。
この写真の左右のフレームの横方向の面が、先のローラー動作にとって良い面の組み合わせであることを目指しました。
こんな感じでブラケットがハマります。(直角治具はズレない様にちょっとキツめにしてあります)
ブラケットを付けた後にネジ止めします。ちゃんとした六角レンチだとネジ締め楽だわ~。
直角治具のお蔭で直角は維持される筈です。
また、ちゃんと直角治具の底までフレームとブラケットを嵌めれば、4隅の高さが揃うので、平面度も得られる筈です。(勿論、基準となる床の平面度も必要です)
続いて、外したフレームを直角治具に当てながら嵌め込みネジ止めします。
フレーム完成。
モータプレートとプーリープレートを付けて、ケーブル類をもう一度配線し直します。
ここまで戻ってこれました。(PCBケースとケーブルが養生テープ止めなのは、またバラすかもしれないことを鑑み、作業簡素化させてるだけです)
ここまで気を付けて組んだので、フレームの歪みは解消されたはずです。
フレーム再組み後のテスト
・・・完走したけど、まだ段ズレしてる。
でも境界確認すら動かない状況からは前に進めました。
ベルトのフレーム角当たり調整
よく観察する
何度かテストデーターを走らせて、何が起こってるのか観察します。
どうも、Y軸の下側と上側の方に移動した際に、何か引っかかりがある様です。
ベルトとフレーム角が接触しそうで怪しい
電源を切り、手でスライドさせてみてもイマイチ分かりませんが、なんとなくベルトを見てると、フレームの角にベルトの歯が接触しそうになっていることに気付きました。
どうも、モーター側だけでなく、プーリー側にも同じ様な箇所があります。
ちょっと隙間狭過ぎない??
プーリープレートを外せばベルトを弛ませるとこれくらい隙間出来て安心ですが、当然これでは動かないので意味がありません。
モータープレート、プーリープレートの角度調整
組み立てマニュアルでは、モータープレートの黒い線とフレームが合う様に取り付ける指示がありますが、そもそも横のネジ2か所で締めてるだけなので、結構上下に角度変わります。
上側にすると下側の方にベルトが当たりそうになり、逆に下側にすると上側の方にベルトが当たりそうになります。・・・コレ調整シビア過ぎだよ・・・(ノД`)・゜・。
X軸に取り付けたY軸プーリープレートにはフレーム沿う溝が掘ってありましたが、このモータープレートには溝がありませんので、位置決めはネジ止めした際の取り付け角度次第なんです。
ここは3Dプリント部品で一工夫したいところ・・・。
とは言え、今は無いので、フレーム上下にベルト当たりが無い様に微妙な角度付けをして調整します。
もう一つのベルトラインの暴れ要素
ちなみに、ベルトとフレームの角当たりについては、もう一要因ありそう。
プーリーの幅がベルトに対し広いので、ベルトラインが結構左右に暴れるのです。
このベルトラインが左右に暴れることにより、フレームの角への接触が起こったり起こらなかったりする様です。うーん、なんて微妙な・・・。
ちなみに、モーターのタイミングプーリーはベルトに対し広過ぎることは無いので、ベルトラインが左右に暴れる要素はありません。
プーリーも同じ幅で良かったんじゃないのかな??謎です。
なんにせよ、ベルトラインが左右に暴れても、フレーム上下にベルト当たりが無い様に絶妙な角度付けをして調整します。 ホント、絶妙に。(笑)
再々テスト
段ズレが収まりました!!!
ん?隅の小さい丸(写真左下)が歪んでいるように見えます。
あー、ベルトテンション足りなかったかなぁ・・・と、ここで、意外なことに気付きました。
Y軸モーターの配線、片方付けるの忘れてる・・・・(;´・ω・)
慌てて、電源を切り、つけ忘れたY軸モーターの配線を付けます。
んで、もう一度テスト。
・・・・・。境界確認でY軸が全く動かんくなった。
ええええ~ 振出しに戻るかよ~~~~~~~~~~~。
暫し呆然。
トイレに行って頭を冷やします。
モーターのタイミングプーリーの位相合わせ
状況分析
Y軸モーターの配線が片側外れている片輪走行でも、動くには動きました。
一応テストデータ完走するくらいの動きですので、そこそこちゃんと動いてるレベルです。
Y軸モーターの配線を両方ちゃんと付けると動きません。
気になって、反対側のY軸モーターの配線を外して、もう一度片輪走行させてみます。
・・・・動きました。
ここで、ハタと気付きました。
ああ、モーターの位相が合ってないんだな。
FABOOL Laser Miniの構成は、Y軸2モータ-方式となっていて、同一のモータードライバ回路に並列接続されています。(写真赤丸のコネクタ2個並びがソレです)
配線後の写真を見ると、Y軸モーターが逆配線で接続されています。(写真赤丸)
片側は同じ動きで逆回転させる方式ですね。(モーター取り付けが逆向きだからでしょう)
で、重要なのがドライバー回路が共通ということ。
その上で、Y軸のフレームとベルトを経由して、Y軸の2モーターが接続されています。
この2モーターのコイル位置が両方とも合っていれば良いですが、組む時にそんなことは全く気にしてないので、合っている筈も有りません。
タイミングプーリーの角度調整
という事で、片側のモーターのコイル位置(タイミングプーリー角度)をズラしてみます。
やり方は、片側のモーターのタイミングプーリーのイモネジを緩めます。
モーター軸を指で押さえながら、Y軸を手で動かしプーリーを回転させます。
イモネジ位置が、モーター軸の面取り位置に合うところで、イモネジを締めます。
あ、タイミングプーリーのイモネジが2か所なのは、この為か・・・。(合点がいきました)
再々再テスト
うまく行きました。
今度は四隅の丸の歪みも起こってません。
うん、バッチリ。(マイクロオーダーでは測りかねますが。。)
という事で、FABOOL Laser Miniをようやくまともに動かせる状況に辿り着きました。
床の保護に敷いてたポプラ合板が良い味になって来ました。(^_^;)
まとめ
やったことのまとめです。
- フレームは直角で平面度がある状態に組む(直角治具あると便利でした)
- V-Slotフレームの面の違いに注意(出来るだけ揃える)
- ベルトがフレーム角に当たらない様にモータープレート、プーリープレートの角度調整
- Y軸2モーターのコイル位相合わせる
関係データのダウンロードリンク
今回フレーム組みで使用した直角治具の3Dデータ(STLファイル)はコチラに置きました。
3Dプリント時の注意点と併せてご参照ください。
おまけ
ベルトとフレーム角の干渉はどうにも厄介そうです。
フレームを立てて収納したりした際にも、微妙にズレて、ベルト当たりが再発しかねません。
という事で、こんなモノも作りだしています。完成次第公開予定。
【2016/9/29追記】
本記事の調整だけでは、下記記事にて公開しているFABOOL最大カットサイズ(299×229mm)データだとまだ段ズレが発生しました。
その後、改造パーツを作成して更なる精度向上を狙った話がコチラ↓
プーリー当たりなどの調整について触れていますので、改造しない方もご参考まで。
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